2021年11月21日、画家の木村正紀さんの個展が開かれるということで、奈良県桜井市の等彌(トミ)神社へ行ってきました。
等彌神社は、国道165号線、通称初瀬街道の出発点近くに位置し、神武天皇が橿原で即位した後に大嘗祭を行ったとされる神代からの歴史がある神社です。
今回、念願だった鳥見山(とみやま)登拝と、木村さんからご紹介いただくことで宮司様とお話する機会をいただけましたので、その時の内容について記しておきたいと思います。
鳥見山登拝
まずは境内各社を参拝
等彌神社が鎮座する鳥見山の山頂には、神武天皇が大嘗祭を行ったとされる場所、霊畤(まつりにわ・れいじ)があります。
等彌神社にはこれまで何度か参拝していますが、天気に恵まれなかったり時間が無かったりで、これまでは登拝を断念していました。
今回は天候も良く、時間にも余裕がありましたので、霊畤を目指すことにしました。
その前に、まずは、紅葉を楽しみながら、境内の各おやしろにごあいさつ。
▶︎下津尾社 右殿(八幡社):磐余明神(神武天皇)、品陀和気命・左殿(春日社):高皇産霊神、天児屋根命
▶︎上津尾社:大日霊貴命(天照大神)
神武天皇が即位する以前には、この地を饒速日(ニギハヤヒ)が統治していました。
皇軍に初めは抵抗した饒速日でしたが、神武天皇が同族である(古事記には、神武天皇の祖先である瓊瓊杵尊と饒速日は兄弟と記されています)と知り、統治権を譲ることにしました。
橿原宮で初代天皇に即位した神武天皇は、鳥見山で大嘗祭を行い、皇祖神である天照大神を祀ったとされています。
▶︎境内のそこかしこで、木村さんの作品が顔を覗かせてくれました。
いよいよ鳥見山登拝へ
上津尾社正面の階段を下ったところに、登山口があります。
赤い鳥居を潜って、出発です。
黒龍社
水の神様か、三輪山の大物主か?
土が赤いですね。
神武天皇は、天香山の土で祭祀用のかわらけを作らせたと伝わりますが、この山の土も土器作りに適していそう。
霊畤拝所
登山が困難な時は、ここから拝めるようになっているようです。
日頃の運動不足から息が上がる。
手水舎で杖をお借りしておいてよかったです。
切り倒された木から生育したような不思議な木が、たくさん見られました。
樹木の専門家によると、樹齢50年ほどのニセアカシアという外来種で、禿山復旧の目的で、明治から戦後にかけて多用された木だそう。
その方の予想では、この山は50年以上前には禿山だったのではとのこと。
木々の間から三輪山が。
尾根伝いに続く山道は、本来は視界を邪魔する木々は無く、左手に三輪山を眺めながら歩く道だったのではないかと推測しました。
だとすれば、かつては禿山だったという樹木の専門家の予想とも合致しますね。
こちらは檜かな?
足元には、シダ植物が群生していますね。
庭殿
ちょっとした広場になっており、祭りの饗宴に供された場所だそうです。
楽しげに酒を酌み交わす人々の姿が目に浮かぶようです。
まだまだ、道は続きます。
白庭
こちらのベンチで一服。
なぜかここは居心地がいい。
目的地の霊畤へ到着
他の方が書かれたブログでは、見晴らしがいいとありましたが、この日は樹木が茂っていて景色は見られませんでした。
想像ですが、神武天皇がここで大嘗祭を行った時は視界が開けていて、麓から見上げる人々に天皇に即位した姿を披露できたのではないでしょうか。
そんな晴れがましい場所のはずなのに、ちょっと悲しい気分になったのはなぜだろう。